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日本人は1000年以上ものあいだ和紙にかこまれた生活をしていました。そのはじまりはシルクロードを渡って来たものですが、その後日本の文化に根づき、奈良正倉院には今でも当時のものが残っています。文字や言葉を残すために生まれた紙が、海をこえ独自の文化と花さいた時には、空間造形の一部として使われる様になっていました。
500年以上の長い間、和紙は日本では建築素材として大きく発展し、記録として文字を書くものよりも多量に作られ、使われていくことになりました。建築空間の中の和紙は現代人が安易に想像する「障子」だけでなく、襖(ふすま)、照明(ランプ)、屏風(びょうぶ)、壁、掛け軸をはじめ、和傘や団扇、扇子などと、生活に深く根ざしていました。
「日本の家は木と紙でできている。」と評されたのもこの時代であり、その頃は「紙」とは現在で言う手漉き和紙を示していました。日本が工業化を迎え、西洋の文化を取り入れていったと同時にいろいろな発展を経て、建築素材としての手漉き和紙は人々との関わりが薄れていき、一般的、庶民的なものから徐々に一部の人の嗜好品へと変化していきました。
今回の展示は日本人、日本文化と和紙の関わり合いをもう一度復活させる接点として役に立てばという願いとともに、障子、襖のない海外生活において、和紙で出来た物を空間にもつことは生活に癒しを与え、気持ちをやわらげる効果が得られると言われます。また外国人の方には日本の良いものを知ってもらえる良いチャンスになると思い今回の企画を立案し、協力を得て、実際に体験して頂く良い機会として、ギャラリー展示をさせて頂きました。 |
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